【彫金】真鍮製のボリュームツマミに毛を彫ってみた

MHaudio 真鍮製ツマミ

MHaudioさんの工房を見学してきた

先日、MHaudioさんへ工房見学に行かせていただいたのですが、その時に以前MHaudioさんに頂いた真鍮製のボリュームツマミを加工して持って行きました。
このツマミはアンプなどに取り付けて使うことが出来るものです。

真鍮製のツマミに何らかの加工をしてみる、というアイデアは以前から考えてはいたのですが、やっとそれを実行してみたというわけです。

真鍮製ツマミ 「毛」
そこで、せっかくなのでちょっとおもしろいことがしてみたいなと思い、彫金の道具である「鏨(たがね)」で、真鍮製のツマミの表面に毛を彫ってみました。
なんとなく生きものっぽいイメージにしたかったので、元々の円柱状の形状を削って丸っこい形に削ってから表面の毛の加工をしました。

良いか悪いかは別として、他にはない変わったボリュームツマミに仕上がりました。

】真鍮製のボリュームツマミに毛を生やしてみた

削って形を整える

円柱状のボリュームツマミをどのように加工していったのか、その作業工程を紹介していきたいと思います。
真鍮製ツマミ 加工
まず最初に、このツマミはそのままでは手で持つ場所が少なく切削作業がしにくいので、穴に棒を差し込み固定して、手万力で挟んでヤスリで削ります。

このツマミに使われている金属、真鍮とは銅と亜鉛の合金で黄色い発色が特徴の金属です。
このツマミに使われているのは「快削真鍮(かいさくしんちゅう)」という切削加工のやりやすさに特化した配合がされている真鍮ですね。

実際に削ってみると、これが快削真鍮だということがよく分かるのですが、かなり気持ちよくサクサク削ることが出来ます。
真鍮製ツマミ 加工
かなり形がそれっぽくなってきました。

この段階まで来ると、どうしてもヤスリでは細かい部分は削るのが困難なので、小型の回転工具であるリューターを使って細部を削ります。
真鍮製ツマミ 加工
リューターで細かい部分や微妙な凹凸を削ったら、次は目の細かいヤスリで全体を整えます。
真鍮製ツマミ 加工
この後、毛を彫るので表面の傷を完璧に綺麗にする必要はないのかもしれませんが、ヤスリでしっかりと削ることで、よりなめらかな曲面を表現することが出来ます。

真鍮製ツマミ 加工
最後にキサゲという道具で、ヤスリで削った時にできてしまうバリを削り取ります。

これで、削る作業は完了です。

毛を彫る

彫金の技法には「打ち出し」「象嵌」など、様々な技法が存在します。
今回のように金属の表面を鏨を使って、はつり取ったり、凹みをつけて模様などを表現することを「彫り」と言います。
「彫り」は彫金技法の中でも最も基礎的でかつ重要な技法であるとも言われることがあります。
おたふく鎚 タガネ
今回の「彫り」には自作した鏨と「オタフク鎚」という小型の金鎚を使います。

鏨をオタフク鎚でコツコツと打って凹みをつけることで、毛のような表情を彫っていきます。
真鍮製ツマミ 加工
この毛を彫る技法は、僕が芸大の大学院生だった頃の作品によく使っていました。

昔作った毛を彫った作品→「ひとりで立てるもん!

少しづつしか進めることができない根気の必要な作業ですが、こうして作品全体に毛を彫って完成させることが出来た時は達成感があります。

真鍮製ツマミ 加工
かなり出来てきました。
一本一本の毛を数えきれないくらい何回もオタフク鎚を打ち付けることで表現するのです。

およそ1時間の間、コツコツし続けてようやく全体に毛を彫り終わりました。
真鍮製ツマミ 加工
これで完成でも良いのですが、これだとすぐに真鍮の表面が酸化して汚くなってしまうので、表面を古美加工します。

真鍮は放っておくと徐々に表面が酸化して、色合いが変化してきます。
それはそれで味があって、長く使って来たものほど趣のある色合いになっていくと言えます。

しかし、この毛を彫った表現をした場合は経験上、あまり美しいと言える経年変化をしないことが多いので、薬品を使って変化しにくい安定感のある状態に表面処理を施します。

表面処理

黒染め液 カラス
毛を彫った真鍮製ツマミの表面処理には「カラス」という商品名の銅・真鍮用の黒染め液を使いました。
この薬品を使えば銅や真鍮の表面を人工的に酸化させて、黒い色にすることが出来ます。

真鍮製ツマミ 加工
洗浄液で良く洗浄して脱脂した後に、黒染め液に漬けて黒っぽい色に変色させます。

それだけだとちょっと黒すぎるので、重曹で磨いて余分な部分を落としていきます。
真鍮製ツマミ 加工
この工程を2〜3回繰り返します。

真鍮製ツマミ 「毛」
完成です。

久しぶりに毛を彫ったり、丸っこい形に削ったりしたので、3時間くらいかかってしまいました。

実際に取り付けてみる

せっかく作ったので、試しにMHaudio製のポータブルヘッドホンアンプHA-1に取り付けてみました。
HA-1 「毛」ツマミ装着
なんか不思議な感じになりました。
すごく謎な雰囲気です。
HA-1 「毛」ツマミ装着
とりあえず他にはないボリュームつまみであることは間違いないですね。
HA-1のツマミの部分に何か変な生き物が居るみたいな感じになりました。

これを見ていると、アンプの本体部分も何か加工してみたくなりますね。

ちなみにこの毛ツマミは、正面から見ると、毛の流れが集まった場所があって、その部分が現在のボリュームの値を示すようになっています。

HA-11にも装着してみました。
HA-11 「毛」ツマミ装着
うん、こっちの方がしっくりくるかもしれないですね。

ちょっとお試しでやってみてしまったツマミの加工ですが、おもしろいものが出来たと思います。

このツマミを実際につけている人を街とかで見かけたら思わず2度見してしまいそうですね。

まとめ

ちょっと変なことをしてみたいと思い、やってしまった真鍮製のツマミの加工ですが、経験としてはおもしろい経験が出来たのではないかと思います。

実は、先日のMHaudioさんの工房見学の時にこの毛ツマミを持って行って見てもらいました。
そうしたら、さらに何個か元となる真鍮製のツマミをお借りすることができました。

今後このボリュームツマミ達がどのように加工されていくか、またそれを加工してどうするのかは未定ですが、何らかの形で発表できたらいいなあとは考えています。

いろいろツマミの表面加工のアイデアはあるので、また何かできたらこのブログでも紹介したいと思っています。

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