「Information Catcher」情報社会にどっぷり浸かりすぎることははたして良いことなのか?

Information Catcher

約3年前に制作した「Information Catcher(インフォメーション キャッチャー)」という作品について書いていきたいと思います。

この作品は、あふれるような膨大な情報が存在する現代社会において、現代人が素早くそして効率よく情報収集することが可能になったということを表現した作品です。

ほんの少し前まではインターネットという便利なものはありませんでした。
そして、その発達によって人々は昔とは比べ物にならないほどの速度で多くの事ができるようになりました。

それが良いことなのか悪いことなのか、この作品はその点に対しての問いかけがテーマとなっている作品です。

「Information Catcher」

情報収集と伝達の効率化

Information Catcher
この作品「Information Catcher」の頭部からはたくさんの「手」が何かを掴もうとするかのように伸びています。

これは、インターネット上のどこかにあるはずの、自分の求めている情報を集めようとする仮想の手として表現しました。

インターネットが無かった時代に比べると現代はあらゆる情報に溢れています。
また、それを収集することもウェブブラウザ上で驚くほど効率良くかつ、最小限のアクションで行うことが可能になりました。

さらに、メールやSNSなどを使えばどんなに離れている場所にいようとも、瞬時に情報の伝達も行うことができるようになりました。

こうして、個人がブログなどで情報発信するという行為もちょっと前からすると考えられないことです。

これは画期的なことです。
なぜなら、これらの作業が効率良く行えるということは、それだけ多くの仕事を素早くこなすことができるし、より多くの人に自分の伝えたいことを瞬時に世界中に伝えることができるようになるからです。

また、大きな組織でなくとも、個人で情報の発信や拡散を行うことができるようになったというのも、インターネットが無かった時代ではありえないことでした。

情報社会における現代人の姿を表現

「Information Catcher」はそんな現代人(未来人)の姿をイメージして造形した作品です。

ただし、それが良いことばかりなのかはよくわかりません。
Information Catcher
この作品の本体部分の人型の生き物は、まるで宇宙人のような姿をしています。

頭部は身体に対して大きく、目は4つあって、手足は退化したかのように小さいです。
その代わり、頭部からは情報をキャッチするための無数の手が生えていて、身体の弱さをカバーしているかのように見えます。

この生き物(人間)は情報の収集や処理に特化した存在であると言えます。
この造形は、ある意味での現代人の性質を具現化したようなイメージでデザインを考えました。

現代、そしてもっと先の未来には、頭で考えるだけで、手足を使わずとも何不自由なく生きていくことができる時代が来るかもしれません。
そんな、「情報社会」と呼ばれる時代を象徴するような人間の姿を表現しました。
Information Catcher

情報社会における人間の今後

僕達現代人は、情報社会にどっぷり使って日々を過ごしている人がほとんどであるはずです。
今や、インターネットの存在や、ひいてはそれを閲覧するためのPCやスマホなどのデジタル機器もなくてはならないものとなりました。

聞きたい音楽をダウンロードしたり、近くのおいしいレストランの場所なども検索すれば大抵の事はすぐにわかります。

これは、けして悪いことではありません。
むしろ、僕個人としての考えでは、膨大な量の情報を効率よく処理することが可能になったこの世界はより便利になっていくと思うし、歓迎すべきだと思っています。

特に、僕のように作品を作る人間にとっては、自分自身で簡単に情報発信ができるというのは、非常に都合が良くて素晴らしいことです。
あらゆるジャンルでの表現者にとって、生きていきやすい時代になってきたということが言えるかもしれません。

しかし、かつて大事だとされていた多くのものは失われつつあるのかもしれません。

例えば、少し前までは肉体的な頑強さがある人間が社会的に圧倒的に有利でしたが、今はいくら身体能力が優れていても情報弱者は時代の流れについていく事はできません。
人と面と向かってのコミュニケーション能力よりも、ソーシャルでの発言やフォロワーの多さの方が、今の時代ではパワーを持っています。

まあそれはそれで、良いのですが何か未来の人類に対しての漠然とした不安のようなものも感じる気がします。

これは極端な話ですが、突然変異で人間だけど別の何かが生まれてしまうなんてことがこれから起こりうるかもしれません。
「Information Catcher」のように手足が退化して、その代わり脳みそだけが大きくパソコンのディスプレイを見るための目がたくさんあるような、新たな人類が誕生する日も来るかもしれないですね。

Information Catcher

まとめ

「Information Catcher」を作ったのは、世の中が刻々と変化していく中で、その流れに乗っている人と、いつまでもずっと変わらない人の落差が激しいということを思ったからです。
「わし、パソコンちゅーもんを触るとじんましんでるんやで」とか言って仕事を覚えようとしないおっさんとか、「フォロワーが10万人います」とか言うSNS中毒の10代の若者とか、ものすごい落差ですよね。
両方とも逆の意味でヤバい人達です。

前述したように、それはどちらが良いとか悪いとか断言することはできない、難しい問題です。
しかし、個人的には利用できるシステムや道具があるのならばどんどん利用するべきだし、それによって自分の世界も広がっていくと信じています。

世の中はものすごいスピードで変化し続けていて、インターネットと一言で言っても様々なサービスやソフトウェアが現れては消えたりを繰り返しています。
この作品を作った3年前と比べても、ずいぶんと世の中が変化したと思います。
このスピード感はインターネットが無かった時代からすると考えられないことです。
Information Catcher
テレビやそれすらもなかった時代には、何事も何年何十年も続いていつの日か「伝統」と呼ばれるようになるのが当たり前でしたが、そのスパンも短くなっているように思います。

例えば、就職に関しても終身雇用が基本とは言えなくなっているし、家電などもどんどん新商品が発売されてすごいスピードで入れ替わっています。

このとてつもないスピードで移ろい変わっていく、世界についていくには自分自身が「Information Catcher」になることが必要なのかもしれません。

今の時代生まれてくる子どもたちは「ネイティブデジタル」という呼称で呼ばれることもあるそうです。
生まれた時からデジタルなスピード感と情報の多さに慣れている、これからの若者たちは、自然とこの情報社会で上手くやっていくことができるのかもしれませんね。

この作品は、かつてない変化のスピードと膨大な情報にあふれた時代に対する問いかけがテーマになっているというわけです。

情報社会の中にどっぷり浸かること、それが良いことなのかどうなのかは僕達が生きていく中で考え続けて、答えを出していくべき問題なのでしょう。

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