今週掲載のハンターハンターの感想と考察を書いていきたいと思います。
第344話もこれまた濃い内容となっていて、楽しく読ませていただきました。
タイトルの「著者」と言うのは暗黒大陸のことが詳細に書かれている本である「新大陸紀行」を書いた人物の事でした。
その人物が何者であるのかはまだ全くの謎ですが、今後の暗黒大陸探検の中で登場する機会がありそうですね。
今回の話はよく見ていくと、細かいところにいくつかの伏線が散りばめられいて、しかもそれが何も補足説明なしに自然と流されていくような物語の構成となっていました。
なので、「オレでなきゃ見逃しちゃうね」というわけではないですが、読んでいる間は全く気が抜けなかった印象です。
連載再開してからというもの、毎回すごく濃い内容ですごくおもしろいのですが、まだ一向に暗黒大陸に向けて出発する気配がないのが少し気になります。
はたして今回の連載中に暗黒大陸にたどり着くことができるのでしょうか。
クラピカ
最後の緋の目
クラピカは物語の中でははっきりと描かれていはいませんでしたが、これまでに様々な人物と関わり、仲間の目を取り戻し続けてきたようです。
ノストラードファミリーのボスの娘であるネオンから始まり、最後はカキンの第四王子であるツェリードニヒ=ホイコーロの所有する緋の目を取り返せば、奪われた仲間の緋の目を取り返したことになるのだそうです。
しかし、クラピカは迷っているようです。
その目的を果たした時に、その目的のためだけのために生きてきた自分はどのようにその後の人生を生きていけばよいのか。
クラピカの向かう場所
クラピカは全く自分の事をわかっていないとしか思えないのですが、帰るべき場所というのはもうすでに持っていると思います。
クラピカのことを十二支んに推薦してくれたレオリオをはじめとして、ゴンやキルアもクラピカのことを受け入れてくれる仲間であるはずです。
レオリオはクラピカのことを最も信頼のおける仲間であると思っているからこそ、十二支んのメンバーとして一緒に暗黒大陸に向かうことを望んだはずです。
クラピカが思っているように、レオリオは人見知りキャラではありませんが、十二支んのメンバーがいかに優秀な人材の集まりといえども、やはり知らない人間だけの場所でやっていくのは心細かったのでしょう。
クラピカを本当に頼っているからこそ、心強いと考えているし、一緒にいたいと思ったはずです。
しかし、そのことをクラピカは全くと言っていいほどわかっていません。
クラピカは非常に頭の切れる人物ではあるのですが、自分のこととなると全く周りが見えなくなってしまうアンバランスさを兼ね備えているように思います。
それが、クラピカの魅力ではあるのですが、その姿を見ているとなんとも歯痒い気持ちにもなります。
クラピカが仲間たちの気持ちと、自分の向かうべき場所に気づく日はやってくるのでしょうか。
ジンの思惑と暗黒大陸の探検のリスクとリターンについて
No.2
先週に引き続き、ジンは自分が「No.2」であるということを主張します。
しかし、ジンの主張は「No.2」という肩書きだけは譲れないけど、言ってしまえば他は何も要らないという、一見何を考えているのかわからないものでした。
でも、そこにはジンの思惑が隠されているということが推察されます。
「No.2」というのは言っているだけで、実はジンの交渉術の一つなのでしょう。
「No.2」ということを認めてもらう代わりに他の全てがジンの不利になるような条件の提示、ということはジンの本当の目的は「No.2」になるということにはなかったのではないでしょうか。
通常、組織の中での順位が上であればあるほど、権力を持てるはずだし、会社などであれば給料も高くなるのが普通です。
ジンの言う「No.2」と言うのは、普通に考えられる「No.2」とは全くかけ離れたものでした。
そして、その本当の目的はおそらく「暗黒大陸への探検に同行する」ということなのではないかと思います。
ジンは暗黒大陸の探検に行くということを目的に何年もの間準備をしてきました。
暗黒大陸に対しての豊富な知識は、その準備の一環として蓄えられたものなのでしょう。
注目すべきなのは、彼らがジンが暗黒大陸に同行するということに対しては全くの疑問や反対意見が出なかったということです。
ジンは「No.2」だということを認めさせるという突拍子もない主張に隠して、暗黒大陸探検隊のメンバーになるということを自然とやってのけたのはないか、と言うのが僕の考えです。
コミックス第30巻の最後の方でジンが言っていた、最初に無茶な条件を言っておけば本来の目的である条件は通りやすくなるという、チンピラや詐欺師の常套手段だという手口だったのではないでしょうか。
でも、ジンが本当にすごいのは、この後です。
徐々に自分が、彼ら暗黒大陸探検隊のメンバーにとって有害ではないということを示していき、最後には皆が知りたがっていた暗黒大陸の詳細な情報を提示することで、彼らを上手いこと懐柔してしまいました。
その姿は、名目的な面だけでなく実質的にもジンがあっという間に「No.2」になってしまったということを表しているように思います。
やはりジンはすごい人だということですね。
暗黒大陸とグリードアイランドの関係
ジンの話によって、今回も暗黒大陸の概要の一端が見えてきました。
5大厄災という人類を滅ぼしかねない、とてつもなく危険なリスクがある代わりに、そこから得ることができる報酬は人類にとって非常に有意義なものであるということが語られました。
長寿をもたらしてくれる穀物、万病に治す香草、膨大なエネルギーを発生させる鉱石など、夢の様なものが暗黒大陸にはあるというのです。
ジンの話す内容を見ながらちょっと思ったのが、暗黒大陸というのはグリードアイランドとよく似ている部分があるということです。
グリードアイランドとは、ジンがその仲間たちと作ったゲームソフトですが、クリアすればその報酬として3つの指定ポケットのカードを現実に帰還した後も使うことができるというものです。
指定ポケットのカードのアイテムはまるでドラえもんの道具のように夢がいっぱいなアイテムばかりでした。
グリードアイランド編を連載していた当時はこの指定ポケットのアイテムたちの中から、自分だったら何を選ぶかなあとか妄想しながら楽しんだものです。
暗黒大陸とグリードアイランドが共通しているのは、未踏の地を冒険するという点と、大きなリスクの変わりに通常ではありえないような有益な報酬を得ることができるかもしれないということです。
グリードアイランドは非常に難易度が高く、一般的には帰ってきたものはいないとされていましたね。
もちろん暗黒大陸のほうがずっと難易度が高く恐ろしい場所であるはずですが、両者の共通点はハイリターンだけどスーパーハイリスクだということです。
ジンはおそらく、暗黒大陸と似たものを表現しようと思ってグリードアイランドというゲームを製作したのではないでしょうか。
ジンが長い年月に渡って暗黒大陸への探検の準備をしてきたことと、強い興味を持つ事柄に対して強く働くという念能力の性質から考えても、暗黒大陸への思いが募ってグリードアイランドというゲームを作ってしまったということなのではないでしょうか。
ドン=フリークス
ドン=フリークスってなんだよ!って思いました。
連載が再開されてから度々名前が登場している「新大陸紀行」、その著者の名前が今回のお話の目玉です。
フリークスという名前が付いていることから考えて、ジンやゴンの祖先に当たる人物だと言うことは推測できるのですが、もっと驚きなのはドン=フリークスはまだ生きているかもしれないということです。
確かに「新大陸紀行」の内容の通りに、長寿をもたらす食べ物や万病を治すことができる香草が存在しているのならば、300年以上もの期間存命しているという可能性は十分にあります。
でもここで、すごいなと思ったのはジンの洞察力と想像力です。
いろんな要素が重なっていたとしても、300年以上も前に書かれた書物の作者が生きているなんて発想にはまずなりません。
暗黒大陸に関するものは全体的に、色んな意味でスケールが大きいですよね。
ドン=フリークスという人物が存在していて、暗黒大陸に深く関わっているとしたら、ジンやゴンが暗黒大陸に関わっていくというのも必然だったと言えるのかもしれません。
本当に現在も、新大陸紀行の西側部分を執筆中であるのかはまだわかりませんが、ジンが言うのだからきっとそうなのでしょう。
ネテロとその仲間
ZZIGG
ネテロ元会長が過去に2回、暗黒大陸に足を踏み入れたことがあるということは、連載再開された最初の話である341話にて語られました。
今週の話ではジンの話によって、その時の様子が少しだけ描写されたシーンがありました。
想像を絶するような巨大な生物に驚いているネテロとその仲間たちが描かれていましたね。
このネテロはまだ若くて、他の2人のは初登場のキャラクターですが、驚いたのはそのうち一人の名前です。
「LINNET AUDOBLE(リネット=オードブル)」という人物についてはよくわかりませんが、もう一人の「ZZIGG ZOLDTYCK」という人物についてです。
追記:コメントでLINNET AUDOBLEは選挙編に登場したリンネ=オードブルなのではないか、という指摘をいただきました。ありがとうございます。
名前から考えてゾルディック家の人間であるというのは確実なのですが、この「ZZIGG(ジッグ?ジグ?)」という人物がゾルディック家の家系の中のどこに位置するのかというのは謎です。
可能性として考えられるのはキルアの祖父であるゼノの父親、もっと言うとキルアの高祖父であるマハの息子、つまりキルアの曽祖父に当たる人物であるという可能性です。
キルアの曽祖父にあたる人物はゼノがキメラ=アント編でドラゴンダイブを使ったシーンの回想で一瞬だけ顔が登場しました。
また、この時にゼノが「あのジジイ ワシが乳飲子の頃からジジイじゃ」とネテロのことを言っていることから考えても、今回のまだ若々しさのある驚き顔のネテロの見た目から考えても、「ZZIGG」は少なくともゼノよりは年齢が上の人物であるはずです。
その条件から考えるとZZIGGはキルアの曽祖父だとするのが自然でしょう。
もしくは、今まで全くその存在が匂わされてすらいない人物、という可能性もありますが、情報がこれだけではまだわかりませんね。
ZZIGGがなぜ登場しないのか
ZZIGGがキルアの曽祖父にあたる人物だと仮定するとなると、考えなくてはならないのが、なぜ現在ZZIGGが登場しないのかという点です。
一つ、可能性として考えられるのは暗黒大陸の探検、もしくは別の事案ですでに他界してしまったというのが最も大きな可能性として挙げられます。
まあ、普通に考えればすでにこの世にいないから登場しない、というのが自然です。
相当な年齢(98歳?)であるはずのマハや、メルエムと戦うことがなければネテロは生きていたはずなので、寿命で亡くなってしまったと言うのは考えにくいです。
というかハンターハンターに登場する実力者達は寿命が普通の人間よりも長い気がします。
念を極めると寿命も伸びるものなのでしょうか?
もう一つの考えたのは、ゾルディック家を”追放”もしくは”勘当”されているから登場しないという考えです。
そもそもゾルディック家は知っての通り、幼い頃から非人道的とも言える教育を施すことで知られています。
キルアがイルミに言われたように「友達は必要ない」「熱を持たない闇人形だ」というスタンスです。
そのことから考えると、少し疑問なのが「ZZIGG」というゾルディック家の人間が、ネテロの仲間として暗黒大陸の探検なんぞに同行するということがありえるのかという点です。
何しろゾルディック家の教育方針は「友達は必要ない」というものです。
いつも共に冒険している信頼のおける仲間として、暗黒大陸に赴くと言うのはちょっと不自然に思います。
そのことから考えると暗黒大陸探検の同行はネテロの依頼だったのかもしれませんが、それも個人的にはおかしな話に思えます。
というのは、ネテロがDVDの中で言っていたように暗黒大陸のような「個としての強さ」よりも「自然の中で生き抜く強さ」が必要とされている場所で、ゾルディック家の人間を雇うことが適任なのかという疑問が出てきます。
ゾルディック家の生業は相手が存在して初めて成り立つものですから、ネテロの依頼で一緒に暗黒大陸に来たと言うのは疑問があるのです。
そう考えると「ZZIGG」はゾルディック家の人間でありながら、友達を作ってしまったのかもしれません。
キルアのように。
でもキルアと違うのは、いろいろあってゾルディック家を勘当されてしまったのではないでしょうか?
そして、ゾルディック家とは関係なくネテロの本当の仲間として暗黒大陸を訪れたのではないか?ということを考えました。
これは、勝手な妄想で根拠は全くないですが、そう考えればまだZZIGGが登場していないということの説明がつくような気がします。
どちらにしても、そのうちZZIGGの正体については語られる時が来ると思うので、その時を楽しみに待ちたいと思います。
ゴン「オーラが出ない…?」
連載が再開してから初登場のゴン
たった一コマだけですが、連載再開してから初めて、ハンターハンターの主人公であるゴンが登場しました。
もう、あまりにも出てこないから、主人公がジンになってしまったのかと思っていました。
そして、久々の登場のゴンなのですが、どうやらオーラがでなくなってしまっているようです。
オーラが出ないということは、すなわち念能力を全く使うことが出来ない状態であるということです。
たった一コマだけの登場で、しかもその後何の補足説明もないので、スルーしてしまいそうになりますが、これはとんでもない事実ですよね。
すごく、さりげない感じで挿入された一コマだったので、思わず2度見してしまいました。
オーラが出ない理由
ゴンのオーラが出ない状態と言って思い出されるのは、ナックルとの戦いの後にトリタテンに変わったポットクリンが取り付いていて強制的に絶の状態にされたときです。
しかし、今回はナックルが関係あるとは思えません。
だとするとその原因は何なのでしょうか?
一つの可能性として考えられるのはアルカ(ナニカ)に身体を治してもらった副作用のようなものが発動している、とかかなと思ったりします。
でも、特にアルカ(ナニカ)の能力は特にリスクはないという話なので違うような気がします。
このオーラが出せない状態ですが、この一コマを見た時になんだか既視感のようなものを感じる気がしました。
それは、なんだろうと思っていたのですが、幽遊白書のときの話で桑原が一時的に霊力を失った時になんとなく似ている気がしました。
懐かしい話ですね。
幽遊白書の仙水編では桑原は霊力が全く使えなくなってしまっていたのですが、御手洗との戦いで霊力を取り戻すと同時に「次元刀」という新たな能力が発現して使えるようになりました。
桑原のこのケースの場合は、新たな力に目覚める前の準備期間だったということでした。
ゴンがなぜオーラが出せないという状態に陥ってしまったのかは、まだわかりません。
でももしかしたら、ゴンも新たな力に目覚めようとしているのかもしれませんね。
まとめ
今週のお話「No.344 著者」は、様々な事実と、伏線が散りばめられた、注意深く見ないと見逃しそうな部分が多い回でしたね。
どうしても、感想を書いていくと、文章が長くなってしまいます。
まだまだ書きたいことはたくさんありますが、このくらいにしておきたいと思います。
また、ドン=フリークスのことやZZIGGのことなど、今の段階では抽象的な事柄に関しては、かなり想像というか妄想で書いている部分も多いので、適当に流していただければと思います。
ところで、今回の話で見開き2ページ分を使った、暗黒大陸の超巨大な生物が弱肉強食している絵は迫力がありましたね。
すごいスケール感の表現です。
冨樫先生の気合の入り方が伝わってくるかのようです。
冨樫先生の絵はトーンを使っている部分は少ないですが、全ての線が生きているような感じがして、いつも本当に上手いなあと思います。
丁寧に描くのは誰でも練習すればできることですが、冨樫先生の絵のような生命感のある線を描くことが出来る人はあまりいないはずです。
連載再開してから第4週目でしたが、毎回内容が濃くて息を付く間もないですね。
今回の連載で物語がどこまで進むのか楽しみです。
はたして、暗黒大陸にたどり着くことができるのでしょうか?
是非、身体に気をつけて頑張っていただきたいと思っています。
UPしました→「No.345 署名」の感想と考察
コメント
「LINNET AUDOBLE」は初登場のキャラクターではないと思いますよ。
選挙編にちょっとだけ出ていた、ハンター協会最年長でグルメハンターのリンネ・オードブルというお婆ちゃんの若い頃の姿かと。
選挙編での彼女のセリフはほんの少しだけでしたが、「ネテロに生き返って再び会長職に就いてほしい」という旨のものでしたから、ネテロ前会長と面識があり、尚且つ良い感情を抱いていたと推察できます。
この事から、彼女は若い頃にネテロ前会長と共に暗黒大陸で冒険し、幾度も死線や修羅場を協力して乗り越えてきた可能性は充分ありえます。
あと、ZZIGGさんが暗黒大陸の冒険に同行したのは、毒見役としてなのでは?と考えましたw
基本的に冒険の際の食料は現地調達でしょうから、グルメハンターとして豊富な食材の知識や卓越した調理技術を有しているであろうリンネさんが同行しているのは不自然ではありません。でも暗黒大陸で調達した動植物ですから、人間にとって思わぬ毒が含まれている恐れがあります。
そこで、毒に対して高い耐性を持つように育てられたゾルディック家の人間を毒見役に雇ったのではないでしょうか?
まぁ、毒に対して強いとかえって毒見役に適さないかもしれませんがねw
>ネコじたさん
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り「LINNET AUDOBLE」は十中八九「リンネ=オードブル」ですね。
これは気づきませんでした。ありがとうございます。
あとで、本文の方を修正しておきます。
ZZIGGが毒味役だった、という説はリンネ=オードブルがグルメハンターであることから有り得る話かもしれませんね。
ひょっとしたら究極の長寿食ニトロ米のハントのために暗黒大陸に行ったんだったりして…
厳しい自然の中で食料を調達するためには、例えばゴンのようにちょっと口に含んだだけで食べられないものなのかどうか分かるような野性的な勘が必要なのかもしれませんね。