いつもご飯を炊くのに使っている土鍋、「かまどさん」の蓋がちょっとだけ欠けてしまいました。
洗い物をしている時に、ちょっとした不注意のせいでこのようなことになって、ちょっとショックです。
まあ、本当にちょっとだけなので、このままでも使用上の問題はありません。
不幸中の幸いです。
しかし、これだと見た目がちょっとカッコ悪いです。
そこで、エポキシ樹脂の接着剤を使ってやることができる、「金継ぎ」をしてみることにしました。
修理した結果、こんな感じになりました。
かなり大雑把な印象の金継ぎになってしまいましたが、それっぽく修理することができたと思います。
「かまどさん」の蓋がちょっとだけ破損したので、「金継ぎ」っぽく直す
金継ぎとは
金継ぎというのは、漆や陶器の器などを、漆と金箔を使って補修する方法のことです。
しっかりと「漆」を使って補修した金継ぎは、非常に美しく、そして頑丈に修理をすることができます。
今回は土鍋の蓋の部分を漆の代わりに「エポキシ樹脂の接着剤」を使って補修しました。
「漆」という特殊な塗料を使わなくても良いので、誰でも手軽に行うことができるのが、利点です。
ただ、エポキシの接着剤を食品が触れる可能性のある物に使うのは、本来であれば良いことではありません。
通常のエポキシ接着剤は、食品に触れて良いように作られているものではありませんから、もしも食器を金接ぎするときは本物の漆を使うことをおすすめします。
しかし、今回は直接食品が触れる場所ではありませんから、おそらく大丈夫でしょう。
もちろん、直接火が触れる「土鍋の底面」とかだと無理でしたが、今回は蓋の持ち手の端っこが欠けただけなので、「なんちゃって金継ぎ」でも問題ないはずです。
用意するもの
- エポキシ接着剤(2種類)
- 金箔
- 竹のピンセット
- 刷毛
エポキシ接着剤は硬化時間の違う2種類を用意しました。
硬化時間が30分〜90分のものを一個用意するだけでも、普通に金継ぎをすることはできます。
しかし、5分硬化のものも用意しておけば、せっかちな僕のような人間にとってはストレスが少ないでしょう。
最初に5分硬化のものを使って固定して、金箔を貼るために時間の長いものを使うというイメージですね。
金箔は以前、金沢の金箔屋さんで買ったものです。
最近ではAmazonなどにも普通に売っているようです。
便利な世の中になったものですよね。
竹のピンセットは金箔を掴むためのものです。
金属製のピンセットでは、金箔がくっついてしまって無理なので、あったほうが良いです。
刷毛は何でも良いです。
柔らか目の歯ブラシとかでも良いです。
作業工程
エポキシ樹脂の接着剤を使った「金継ぎ」の方法を書いていきます。
接着する
まずは5分硬化の接着剤を使って、欠けてしまった部分をくっつけます。
繰り返しになりますが、「5分硬化」でなくても良いです。
硬化時間の長い接着剤でも、待ち時間が長くなるだけなので問題ありません。
欠片をくっつけました。
接着剤がはみ出していますが、気にしなくて大丈夫です。
エポキシ接着剤が固まるまで待ちます。
ちなみに、金継ぎの雰囲気が細い感じが好みの場合は、この接着の段階で硬化時間の長いものを使っておいて、次の工程にいくと良いと思います。
はみ出した接着剤を利用して、金箔を貼っていく方法です。
ただ、その場合は大きく破損していた場合に、固まるための長い時間、仮止めするためにいろいろ工夫する必要があるかと思います。
金箔を貼る
最初の接着剤が固まったら、金箔を貼る作業に入ります。
硬化時間の長い接着剤を、つまようじなどを使って表面に塗っていきます。
この接着剤を塗った部分に金箔がくっつくのです。
なので、それをイメージして、塗る面積を決めていきます。
今回は、ちょっと派手な感じの金継ぎにしたかったので、たっぷりとエポキシの接着剤を塗りました。
次の行程で、いよいよ金箔の登場です。
あらかじめ、金箔は「あかし紙」ごと、小さく切っておくと便利です。
細かくカットしておいた金箔を、接着剤の乾かないうちに貼っていくのです。
金箔をくっつけるために、硬化時間の長い接着剤を使うのはそのためです。
タイムリミットが長いほうが、作業がゆっくりでも焦らなくて済みます。
貼り終わりました。
ついでに、ほんのちょっとだけ傷がついていた、持ち手の他の部分にも金箔を貼りました。
せっかく道具を用意したので、おまけです。
この日は用事があって、この後出かけてしまったので、仕上げは次の日にやることにしました。
漆は金箔を貼るのに適している
余談ですが「漆」という塗料が、様々な工芸品などで、金箔を貼るために伝統的に使われ続けているのには理由があります。
それは、「特殊な条件」でないと、いつまで経っても固まることがないからです。
そのために、金箔を貼る作業がゆったりと行うことができるというわけですね。
漆を塗った作品は、適切な温度と湿度をつくりだした密閉空間である「風呂」というものの中で固められます。
漆を固めるためには、特に高い湿度が必要なのです。
したがって、普通の場所では、かなりの長い時間をかけて作業をしても大丈夫なのだそうです。
風呂の中でなくでも、気温がある程度高くて湿度の高い「梅雨の時期」は漆が固まりやすい時期であると言えます。
漆は、2液性の接着剤の「〇〇分硬化」とかのように、時間を気にしないで作業することができるのが、良い所です。
天然の塗料なので、食品との相性も良いですしね。
仕上げ
時間が経って、完全に接着剤が固まったら余分な金箔を払い落とします。
万が一固まっていなかったら台無しなので、念の為に接着剤パッケージに書いてある硬化時間よりもかなり長めに待ったほうが無難です。
用意しておいた刷毛でさっさっと軽く撫でるだけです。
接着剤がくっついていなかった部分はなくなって、くっついていた部分は残ります。
完成です。
かなり、大胆な雰囲気の金継ぎになってしまいましたね。
一応、イメージ通りできたと思います。
これで、これからもこの土鍋で気持ちよく、美味しいご飯を炊くことができそうです。
まとめ
この、エポキシ樹脂の接着剤を使った金継ぎは、食器には使うことができないのが難点ですが、自分で気軽にできるのは良い所ですね。
今回のように土鍋の持ち手がちょっと欠けただけとか、ディスプレイ専用の陶器などが割れてしまった時には、この方法で補修すると良いと思います。