大学院2年生の最後に制作した、修了制作作品「進花思草…」について書いていきたいと思います。
学生時代の制作活動の集大成的な作品です。
完成後は3つくらいの展覧会で展示をしました。
「進花思草…」
学生生活最後の作品
「進花思草…」は東京芸大の彫金研究室の学生としての最後の作品です。
学部2年生の時に、彫金を専攻してから学んだ技術を駆使して制作しました。
全て金属でできている作品です。
制作コンセプト
「進化思草…」は植物から動くことのできる動物へ進化しようとしている、生き物をテーマにデザインしました。
しかし、その進化は中途半端です。
動物的な進化の過程にあるのか、自分から動くことができるけれども、まだまだ自由に行動することは出来ないような体の構造であるように見えます。
進化の途中の未成熟な状態を表現しようとして制作しました。
動物のような植物のような曖昧な存在の生き物を10体作りました。
生物的にどちらともとれない中性的な存在というものに「美しさ」が存在するのではないか、と考えたのが制作の動機です。
「植物が進化しそう…」→「進花思草…」というのがタイトルの由来です。
修了作品展
修了制作作品なので完成後は卒業・修了制作作品展で展示しました。
展示場所は東京芸大の大学美術館の地下2階でした。
この作品は、自然にその場所に生き物が存在している様子を表現したかったので、大きな展示台を用意せずに目線よりもかなり低い位置に展示しました。
この展示方法は自分なりに反省点もたくさんあったのですが、いつもとは違う展示方法を経験することが出来たのは良かったと思います。
メトロ財団奨励賞受賞展 池袋Echika通路
修了制作作品「進花思草…」はありがたいことに「メトロ財団奨励賞」という賞を受賞させていただきました。
受賞者の作品は池袋駅の地下通路にある展示スペースで約4週間もの長い期間、展示させていただきました。
Gallery 銀座一丁目 グループ展
銀座にある「Gallery 銀座一丁目」で卒業式の直前くらいの時期にグループ展を行いました。
同じ研究室に所属している仲間との展示でした。
ちょうど、この展示の期間中に入籍したりしたので印象に残っている展示です。
懐かしいです。
まとめ
この作品で学生時代に作った作品の紹介は最後になります。
6年間もの長い期間、学生として毎日のように制作を続けられたことは本当に幸せなことだと思います。
大学を卒業後もしばらくは助手として大学に残ることになるので、ここで本当の意味の卒業ではなかったかもしれませんが、一応の区切りはついたのではないかと思います。
卒業制作や修了制作は学生生活の集大成であることは間違いないですが、その作品が満足出来る作品となることは非常に少ないと思います。
僕も作品の完成後に作品の問題点に気づいたりして落ち込んだりしました。
大事なのは、自分なりにその問題点を問題点として認めて、いかにして解決するかではないかと思います。
学生時代の数少ない大作を作ることができる機会である卒業・修了制作は、作品自体の価値よりもそういった意味での価値が重要なのではないかと言うのが僕の考えです。
そんな意味で「進花思草…」という作品は反省点を残しつつも、制作することが出来て勉強になった作品だった思います。