「宇虫」青い色の緑青と煙で宇宙的な雰囲気を表現

お香立て「宇虫」

この作品は大学3年生の時の自由制作で作ったものです。
タイトルは「宇虫(うちゅう)」です。
彫金の技術で作った、金属で出来ているお香立てです。
中にお香を入れて火をつけると上部にある10個の穴からモクモクと煙が出ます。

「宇虫」

自由制作

「宇虫」は大学3年生の一番最後に作った作品です。
彫金研究室に入って初めての自由課題の時に作りました。

僕が通っていた工芸科、彫金研究室では、2年生〜3年生の間のほとんどの時間を基礎技法の習得のために費やします。
彫金の基礎的な技法をひと通り学び終えた3年生の一番最後には、自分の好きな技法を使って制作することができる「自由課題」があります。

今まで、課題制作ばかりだったので、この課題には自然と気合が入りました。

お香立て

「宇虫」はお香立てです。
お香立て「宇虫」
箱のように開けることが出来て、コーン型やスティック型のお香を設置して火をつけることができます。

お香の煙は作品の上部に開いている10個の煙突のような穴から煙が出るように設計しました。
宇虫 煙
画像にiPadのお絵描きアプリを使って使用中のイメージを再現してみました。
火をつけるとこんなかんじでモクモクと煙が出ます。

また、作品の下部のパーツの裏側には空気を通すための穴が開けてあります。
酸素がなくなって、お香が途中で消えてしまうことがないように工夫しました。

宇宙と虫のイメージ

自由課題の作品を作るには今までの課題制作と違って、全てを自分で考えなくてはなりません。
使わなくてはならない技法が決められていなくて自由に考えることができるので、逆に何を作れば良いか範囲が広すぎて迷ってしまいます。

かなり悩んだ結果この「宇虫」という作品を思いつきました。

この頃、僕は「作品のタイトルをダジャレっぽく考えてしまう病」にかかっていたので、まず「宇宙+虫=宇虫」というタイトルを思いつき、それからデザインを考えました。
普通は逆でデザインとコンセプトから作品アイデアを考えることが多いのですが、当時はこのタイトルを思いついてしまった以上、どうしても作品という形のあるものにしたかったのです。

というわけで、「宇虫」は名前の通り、「宇宙的な虫」とはどんな感じだろうということを想像してデザインしました。

また、お香を入れて火をつけて10個の穴から出てくる煙はなんとなく宇宙っぽい気がします。
お香や線香から立ち上る煙は周りの風に吹かれて「帯」のようになって流れていきます。
この帯状の煙の雰囲気が「銀河」とか「土星の輪」みたいに見えてくることがあります。

これは僕の主観的な思いつきですが、作品のアイデアを考えていくうちに「お香=宇宙っぽい」と思えてきました。

ボディの青い色と銀色の目と足というカラーリングもスペーシーなイメージを意識しました。

宇宙にどこかにいるかもしれない煙を吐き出す未知の虫、これが「宇虫」のコンセプトです。
お香立て「宇虫」

青い緑青

「宇虫」は彫金の技術を使って制作した、全てが金属で出来ている作品です。

独特の青い色も特殊な条件で発生させた銅の緑青の色です。
白っぽい光沢のある目や足などのパーツは銀で作りました。

金属を使って制作すると、絵の具や塗料ではけして創りだすことが出来ない独特な色あいを作り出すことができるのがおもしろいところです。

制作の方向性に影響した作品

この作品は、今思えばこの後の作品の方向性に近い作品です。

学部を卒業して大学院に入ったあたりから、こういう雰囲気の「謎の生き物」を題材にした作品が増えていきます。
大学卒業後も「生き物」を作り続けました。

「宇虫」はそういう意味でも思い出深い作品の一つですね。

まとめ

「宇虫」は大学3年生の時の自由制課題の作品です。
技法が限られている課題制作の作品と違い、自由にデザインを考えることができたおかげか、作品の方向性に大きく影響した作品の一つです。

「宇虫」は「お香立て」という機能を持った「クラフト」です。
生真面目に考えるならば「工芸」という分野は本来はこのように「機能を持った作品」を作ることこそが本来の目的なのだと思います。
しかし、僕の場合は大学院に入ってからは機能を持たない純粋なアート作品ばかり作ることになります。

「宇虫」やその他の機能を持つクラフト作品を作った経験は技術的な面や、考え方の面で経験はすごく勉強になったと思います。

この作品は近年の自分のテイストに近い作品なのですが、最近はちょっと違う雰囲気の作品も作ろうと思い毎日作品制作をしています。
ある程度まとまってきたら、最近の制作風景もブログに書いていきたいと思っています。

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