「目目」は大学院卒業後すぐの時期に作った作品です。
これまでの作品は金属をメインの素材として使うことが多かったですが、この作品以降は金属以外の素材をメインに使用する場合が多くなっていきます。
黒檀という非常に硬い木を削りだして胴体を作り、目の部分のパーツはそれまでと同じように金属で表現しました。
「目目」
二面性がテーマ
「目目」は「二面性」がテーマの作品です。
この作品は置く角度によって見た目が変わるように出来ています。
通常はこのように置くのですが、お尻の部分を上にすることも出来ます。
お尻の部分にも目がついています。
置く角度によって変化する姿と、人間の表と裏のような二面性をテーマにして制作しました。
素材は黒檀と金属
僕は学生時代には東京芸大の「彫金」を専攻していました。
そのためにそれまでのほとんどの作品は金属と彫金の技法を使って制作したものがほとんどです。
しかし、大学院を修了してからはなるべく他の素材も使うようにして制作活動をしています。
「目目」は彫金の技法も生かしつつ、木材である黒檀をメインの素材として使用して作った最初の作品です。
金属とその他の素材を組み合わせることで、それぞれの素材の良さを引き出すことができるかもしれないということと、作業時間の短縮のためでもあります。
また、自分自身の表現に幅を持たせたいという欲求も大きかったのが理由の一つでもあります。
まだ、この頃は金属以外の素材に慣れていないせいもあって表現が硬い部分もありますが、この作品をきっかけにして金属とその他の素材を組み合わせた作品が増えていきます。
まとめ
「目目」は二面性をテーマにして制作した、2つの顔を持つ作品です。
この作品は展覧会に一度だけ出品しました。
大学院修了後の卒業式の直前に銀座一丁目ギャラリーで行った、芸大の彫金研究室所属の仲間たちと行ったグループ展です。
修了制作作品の一部と一緒に「目目」も展示しました。
金属とその他の素材を積極的に組み合わせることを考え始めた最初の作品でもある「目目」は練習作品として非常に学ぶ部分が多かった作品となりました。