大学院1年生の時に制作した「Pudding Purine(プリンプリン)」というタイトルをつけた作品について書いていきたいと思います
この作品を制作した時は、当時所属していた芸大の彫金研究室で学んだ金属の加工技術とその他の素材を組み合わせることに躍起になっていた時期でもありました。
「Pudding Purine」はそういった、金属と異素材を組み合わせて作った実験的な作品達の一つです。
「Pudding Purine」
透明なエポキシ樹脂と金属の融合
写真を拡大するとわかりやすいと思うのですが、この作品は銅の丸線をくるくるとよじったパーツと、目の部分のパーツである金属で作った中空の球体で構成されています。
これらのパーツを作り、設置した後に、透明なエポキシ樹脂を流し込み、まんじゅうのような丸っこい形状に削って完成した作品です。
見た目よりも実際の金属のパーツは小さいのですが、透明で球面に磨いた樹脂がレンズのような効果を出して、見た目よりも大きくて不思議な感じにすることが出来ました。
この作品は赤ちゃんの頭くらいのサイズのものを1つと、握りこぶしくらいのサイズのものを2つで、合計3つ作りました。
それぞれ内部に入れる銅線の表面処理を変えて、3つとも雰囲気の違う作品に仕上がったと思います。
プリンには2つの意味がある
「Pudding Purine」というタイトルは「プリンプリン」と読みますが、「Pudding」と「Purine」は意味が異なる英単語です。
「Pudding」はデザートのプリンを意味しています。
もう一つの「Purine」は聞き慣れない言葉ですが「プリン」という化学物質に使われる言葉です。
「Purine」は痛風などの病気の原因になるとして問題になることがある「プリン体(purine base)」に含まれている物質です。
ビールなんかを買うときはちょっとだけ体のことを気にして、プリン体70%カット!とかの商品を買ってしまうことがあります。
「Pudding 」と「Purine」、この2つの「プリン」を組み合わせて考えたのが「Pudding Purine」というタイトルです。
デザートのプリンのような透明感のある印象と、化学物質から合成されたような不思議な生き物であることを意味しています。
また、ぷりんぷりんしてそうなボディを持つ生き物をイメージしているので、それっぽい雰囲気を演出することができるのではないか、と思ったのが決め手となりました。
まとめ
透明なエポキシ樹脂に埋め込んだ金属の作品である「Pudding Purine」は、樹脂と金属を融合した表現を模索した作品です。
大学院生だった当時、樹脂は初めて使う素材でしたが、気泡も入ることなく上手く作ることが出来たと思います。
この作品を展覧会で展示した時にいろんな方から指摘されたのですが、これだけ透明な樹脂をきれいに仕上げることは難しいのだそうです。
作品の内容よりも、樹脂の加工について多くの人にお褒めの言葉を頂いたのでちょっぴり複雑な気分でした。
樹脂をきれいに仕上げるために、特別なことは何もしていないので、ビギナーズラックだったのかもしれませんね。
制作する前は予想していなかった、レンズのような効果も確認することが出来たので、とても勉強になった作品だと思います。
某パズルゲームに出てくるキャラクターに似ているのはここだけの秘密です。