大学院1年生の時に作った「Animal Fluit」という作品を紹介したいと思います。
この作品のコンセプトは「生き物と植物の融合」です。
果物を食べようとして手に取ったら実は生きていた!という状況と驚きを表現したいと思い制作しました。
東京に住んでいた頃の家の玄関に飾っていたのですが、2011年3月11日の東日本大震災で棚から落ちてしまい、残念ながら壊れてしまいました。
「Animal Fluit」
彫金作品
「Animal Fluit」は彫金の技術を使って制作した金属で出来ている作品です。
特にこだわって制作した点は表面の毛のようなテクスチャーです。
まず、金属の板を加工して立体的な形状にした後、「毛」を作る専用に自作した鏨を使って、コツコツと数えきれないくらいの回数打ちつけて表現しました。
この毛の表現方法はこの作品を作ってからというもの、自分の中でけっこう気に入ってその後の作品で何回も使用することになります。
自立する
「Animal Fluit」は内部に重りを仕込んであって、自立するように工夫しました。
”へた”の部分など上部が重いので、本来であればゴロンと転がってしまうのですが、下部に重りを仕込んで立たせることで、生きているものであるという「生命感」のようなものを表現できるのではないかと考えたからです。
重力に逆らっているように見せることで、果物だけど動物的な生き物であるということを主張しました。
大地震で落ちた
2011年3月11日の東日本大震災では、当時住んでいた東京も震度5強というかなりの揺れがありました。
「Animal Fluit」は家の玄関に棚に飾ってあったのですが、強い揺れに耐えられず1m50㎝くらい落下して、玄関のコンクリートの地面に激突して壊れてしまいました。
仕込んであった重りは樹脂を流し込んで固めてあったのですが、それもはずれてしまい修理しようにもどうしようもない状況になってしまいました。
捨てるわけにもいかず、今も壊れたまま押入れにしまってあります。
まとめ
「Animal Fluit」は大学院1年生の時に作った作品です。
学部生の頃と違って、大学院に入学すると全て自分で考えて制作しなくてはなりません。
課題はあるのですが、ほとんど何を作っても良い自由課題なので、自由である反面何をすればよいか迷ってしまうこともあります。
思えば「Animal Fluit」は大学院に入学して2年間、卒業するまでの間の作品の方向性を決定づけさせたような作品でした。
地震で壊れてしまったのは残念ですが、こだわって制作した作品の一つです。