Klipsh(クリプシュ)のかつてのフラグシップイヤホンであった「Image X10」について書いていきます。
このイヤホンはすでに生産終了となっていましたが、先日クリプシュから新しい型番「X10」としてアジア地域限定で販売することが発表されました。
ネーミングの変更としては「Image X10」→「X10」というもので、Image X10の復刻版として、位置づけられた製品なのだそうです。
そんなことで基本的な仕様はほぼ同じのようです。
発売予定日は7月25日です。
そんなニュースを見てちょっと嬉しかったのもあって、久しぶりにImage X10を聴いています。
image X10を手にとって見てみるとよく分かるのですが、Image X10はすごくハウジングが小さいイヤホンです。
この極小の筐体から良い音が出てくるというのは不思議にも感じますが、それ以上に装着感の気持ちよさは、他の追随を許さないイヤホンだと思います。
【イヤホン】Klipsch Image X10のレビュー
Klipsch(クリプシュ)
クリプシュはアメリカの音響機器メーカーです。
日本ではあまり馴染みが無いメーカーですが、アメリカではオーディオ機器を売っているお店での売上が大きなシェアを占めていたりと、有名な会社なのだそうです。
クリプシュのイヤホンの共通の特徴を挙げるとしたら、それは「Ear Gels」(今は「Oval Ear Tips」という名前になったようです)と名付けられた楕円形のイヤーピースです。
このイヤーピースのおかげでクリプシュのイヤホンは非常に装着感が良いということでも知られています。
この「Ear Gels」は特許も取得しているそうです。
人間の耳の穴の形というのは円形ではなく楕円形に近い形状なので、イヤーピースも楕円形にしちゃおう!というのが、このイヤーピースの設計思想だったと思います。
後述しますが、Image X10はこの独自の楕円形のイヤーピースと世界最小と言われていた筐体の小ささゆえに、非常の装着感の良いイヤホンとなっています。
リモコン無し
現在は「Image X11i」というApple製品用のリモコン付きのイヤホンがクリプシュのフラグシップモデルのイヤホンです。
iPodやiPhoneに直接接続する方法で使用するのならば、非常に便利に使うことができるので、一つくらいはリモコン付きのモデルを持っていると重宝します。
でも、音質にこだわって、ポタアンなどと組み合わせる使い方をする場合は「Image X11i」のようなリモコン付きのイヤホンはすごく微妙です。
Apple製品用のリモコン付きのイヤホンは、プラグが3極ではなく4極です。
故に、接続する機器の相性(音質的な意味合いでの相性ではなく、使えるかどうかという意味での相性)というものを考えなくてはならず、ポータブルヘッドホンアンプによっては使えないものがあるからです。
ポタアンによっては4極プラグのイヤホン・ヘッドホンは音が片方からしか鳴らなかったりするので、リモコン付きのイヤホンは基本的にはiPod・iPhoneなどのプレイヤーに直挿しするような使い方をするのが良いでしょう。
また、僕自身は比較したことはないですが、リモコン付きのイヤホンの方が音質が劣るということを指摘している人もいます。
そんな事でも、今回の「X10」というリモコン無しの復刻版イヤホンの登場は、ポタアンを普段から使っている人間にとっては歓迎すべきことでしょう。
ちなみにImage X10とX10の違いはプラグの部分のデザイン(L字→ストレート)の変更とキャリングケースの変更だけっぽいです。
Image X10のキャリングケースはマグネットでパカっと開け閉めすることができるタイプでしたが、X10のキャリングケースは普通によくあるジッパーで開け閉めするタイプのようですね。
他にも細かい点での変更はありそうですが、これは発売して買ってみないとわからないですね。
接続する機器の相性
ポタアンを使って音楽を聴くという話をしましたが、Image X10は接続する機器の性能に左右されるイヤホンだと思います。
据え置きの大きなアンプは必要ないですが、せめてそこそこのポータブルヘッドホンアンプくらいはあった方が、その性能を発揮できるでしょう。
また、個人的な感想としてはポタアンの中でも低音を盛っていない系統の音作りのヘッドホンアンプの方が相性が良いかもしれません。
今のところの実感としては、高音寄りだと言われるポータブルヘッドホンアンプの方が印象が良いです。
僕の手持ちのポタアンの中では、iQubeやPico PowerなどがImage X10と相性が良いように思えました。
とは言え、所詮イヤホンなので音楽を楽しむという本来の用途として考えるならば、どんな環境でも、使うことに対して不足があるわけではありません。
しかし、この機種は巷では「こもった音」という評価をされることがたまにあります。
その評価は、再生環境の相性によるものだと思います。
使用する環境が上手く選択されれば、クリアでありながらもふくよかな音の、Image X10の本来の性能が発揮できるはずです。
つなげる機器のパワーや音傾向に左右されるという意味では、多少扱いづらい部類のイヤホンではありますが、その分相性の良い組み合わせが見つかれば、かなりの性能を発揮できるイヤホンであると言えます。
装着感の良さ
個人的にはImage X10の最大の魅力はその「装着感の良さ」にあると考えています。
もちろん接続するプレイヤーにその性能を左右される気難しさはありますが、ある意味では気軽に使うことができるイヤホンではあります。
何しろ、耳たぶを引っ張ったり、ぐりぐりねじり込んだりとかしなくても、そのまま突っ込めば耳穴の良い位置に固定されるのが良いですよね。
カナル型のイヤホンはぴったりとした装着をするには、慣れとコツが必要な場合が多いですが、Image X10の装着に関してはあまり考えたりする必要がありません。
Image X10の装着感の良さの秘密というのは、前述した楕円形のイヤーピースと、世界最小と言われる、その筐体の小ささにあります。
現在はどうなのか知らないですが、Image X10が普通に販売されていた時は、イヤホンの中で最も小さいハウジングであるという売り文句で宣伝されていました。
「装着感の良さ」と言うのは、イヤホンという普段から体の一部に身につける道具としては、非常に大きなアドバンテージです。
この小ささのおかげでこのイヤホンは非常につけごこちが良く、かなり耳の穴が小さい女性でも装着することができる可能性が高いはずです。
Image X10を耳の穴に入れると、スッと入る感じがすごく気持ち良いですよ。
タッチノイズ(歩いたりしたときにケーブルが擦れたりする音)は少し大きめですが、耳に入れるときの違和感の無さは、癖になるかもしれないレベルだと思います。
また、このつけごこちの良さというのは、クリプシュの独自の楕円形のイヤーピースとImage X10の筐体の小ささが両方があるからこそ、実現することが出来たものだと思います。
Image X10は、同じシングルBAドライバ搭載のエティモティックリサーチのER-4Sなどと比較されることがありますが、この2機種は装着感という面では全く比較にならない存在です。
耳の奥に簡単に入れることができるImage X10は、耳奥に入れるのに苦労が必要なER-4Sとは、ある意味で対極にあるイヤホンと言えるかもしれません。
ER-4Sは非常に強い密閉感ゆえに、装着すると痛みを感じることもありますが、慣れると、ある意味心地良いと感じることはあります。
「装着感が癖になる」という意味では、両者は共通しているとも言うことができるということですね。
音質
つい、装着感の話ばかりを書いてしまいましたが、その音質も非常にレベルが高いです。
昔、eイヤホンさんのブログで書かれていたのを見た気がするのですが、こんなに小さいハウジングのイヤホンから、このような豊かな音が出るというのは、想像できないことかもしれません。
Image X10はバランスドアーマチュアドライバが1機搭載されている、いわゆるシングルBAドライバのイヤホンです。
しかし、その音質の傾向は良い意味でBA型のイヤホンとは違う印象で、ダイナミック型のイヤホンに近いと言われることもあります。
確かにシングルBAのイヤホンとしては、低音もよく出る方だし、BA型のイヤホンのメリットでもある解像度の高さが際立っているというよりも、音楽全体のイメージを奏でるような印象の音作りのイヤホンです。
しかし、個人的にはこの「ダイナミック型っぽい」という感想にはちょっと疑問があります。
いや、これはすごくわかるんですけど、確かにダイナミック型っぽいとは思う部分もあるのはわかるのですが、このイヤホンはやはりシングルBAのイヤホンの音だと思うんです。
最もそれが顕著なのが、音空間の形とでも言えば良いでしょうか。
奥行き感と言ったほうが正確かもしれないですが、その部分がダイナミック型のイヤホンよりも浅く感じるのです。
横方向に広いかも知れません。
口ではうまく説明しづらいのですが、空間的な側面から音を観察すると、やはりImage X10はシングルBAの鳴り方だと思います。
でも、パッと聞いた感じはどちらとも言えない感じもあって、そういう意味ではダイナミック型っぽいという感想は正しいと思います。
シングルBA型のイヤホンの短所をうまいことカバーするための工夫がされている造りなのかもしれませんね。
双方の短所を非常にバランスよく補った音作りのイヤホンであると言えるでしょう。
また、前述しましたが、Image X10はつなげる機器によって、かなり印象の変わるイヤホンでもあります。
できればポータブルヘッドホンアンプなどの導入を考えた方が幸せになれるイヤホンだと考えています。
Image X10を相性の良いポタアンと接続した時に出る音は、非常にふくよかでありながらもクリアな印象の音を聴くことができるはずです。
特に空間の安定感が違いますね。
ポタアンを使うほうが、低音の感じとかが、ずんとした重みを感じるようになりやすいと思います。
また、このイヤホンは高音部分の詰まった印象が指摘される事がありますが、その印象も再生環境がマッチしていればかなり改善されます。
しかし、iPodなどのプレイヤーに直接接続したり、相性の良くないポタアンと接続した場合は、ぼやけたような印象の音になってしまうケースが多いように思います。
そんなことで、このイヤホンを買ったとしても音質的な意味では、必ずしも満足できるとは限らないですが、再生環境を選ぶことができるのならば、Image X10は良い選択の一つであると言えるでしょう。
偽物に注意
Image X10は「偽物」が非常に多いとされているイヤホンの一つです。
イヤホンの偽物というのは、あまり知らない人もいるかもしれませんが、有名なメーカーの製品はかなりの割合でそっくりな偽物商品が売られているので注意が必要です。
特に某オークションなどで格安で売られていたりするイヤホンはほぼ偽物であると言っても良いかと思います。
また、Amazonなどの信頼の置ける通販サイトでも、マーケットプレイスの商品は注意が必要ですね。
一応、補足の説明をすると、マーケットプレイスの商品は全てがヤバイというわけではないです。
例えば、eイヤホンさんやビックカメラなどの信頼のおけるお店の出品であれば安心ですが、聞いたこともないようなお店であれば気をつけたほうがよいかもしれません。
というか、Image X10のような生産終了品がいまだに継続して、そして安値で取引されている時点で、怪しいと見るべきですよね。
なので、イヤホン(ヘッドホン)を買うときは正規販売店や信頼のおけるお店で購入することを強くおすすめします。
中古品でもちゃんとしたお店のものであれば基本的には問題はありません。
そして、Image X10はネットを見る限りだと偽物が多いイヤホンであるようです。
いざ買ってみると、音が全然良くなかったり、分解してみるとダイナミックドライバが入っていたり、という情報をちょっと探しただけでも見つけることが出来ました。
それだけ、人気のあるイヤホンだからこそ偽物が出回ってしまうのかもしれませんが、そんなことでも今回の「X10」の発売は朗報かもしれませんね。
おそらく、これからもイヤホンの偽物の存在というのはなくなることはないでしょう。
故に、消費者が十分に注意してImage X10に限らず、イヤホンなどの製品を買うときは、情報収集と細心の注意をするべきでしょう。
まとめ
クリプシュの元フラグシップイヤホンであるImage X10は現在は生産が終了している製品ですので、現在では手に入れることが難しいですが、その音質は高く評価のできるイヤホンの一つだと思います。
たまにeイヤホンさんが、「今回で最後かも!?」みたいな感じでブログで入荷報告をすることがありますが、「X10」の発売が予定されている今では、もはや昔のImage X10の入手は中古以外では出来ないと思われます。
個人的には、このイヤホンは接続する環境を選ぶイヤホンだと感じているのですが、別にポタアンとかが無くても問題なく使うことは出来ます。
しかし、相性の良いポタアンと組み合わせると、より豊かな空間を演出してくれるイヤホンであることは間違いありません。
シングルBAのイヤホンの長所が際立って、短所が目立たなくなる印象です。
ポタアンは何でも合うというわけではなく、高音重視系のポタアンのほうが相性が良いかもしれません。
これは、僕の個人的な感想で、音というのは人それぞれの好みもあるし、全てのアンプと組み合わせたことがあるわけではないので、話半分くらいに聞いてくれればと思います。
僕の持っているImage X10は、何年か前のヘッドホン祭で安く売っているのを衝動買いしたという、思い出のあるイヤホンです。
当時は、何万円もするような高級なイヤホンは今のように何本も持っていたわけではなかったので、メインで毎日のように使っていたイヤホンの一つでした。
もう生産終了している製品ですが、復刻版という形で「X10」が発売するというのは、気に入っているイヤホンであるがゆえに嬉しい気持ちです。
最近はImage X10を使用する機会も減っていましたが、どうしても売っぱらうことが出来ない機種の一つでもあります。
久しぶりに聴いてみると、やはり音質的にも装着感的にも優れたイヤホンであると再確認することが出来ました。
今回は、僕のお宝ボックス(イヤホンボックス)から引っ張り出して聴いてみたわけなのですが、最近暑くなってきてイヤホンの使用頻度も上がってきているので、もう少し頻繁に使ってあげようと思いました。