ポタアン(ポータブルヘッドホンアンプ)を使って音楽を聞くと音が良いので、それ自体はすごく良いことなのですが、そこで問題になるのがiPodとポタアンをどうやって固定するのかということです。
通常であれば上の写真のように、専用のシリコンバンドを買ってポタアンとiPodなどの音楽プレーヤーを固定して使用する場合が多いです。
しかし、この方法はあまりしっかりとした固定であるとは言えないですし、何よりかっこよさというものを感じることが出来ません。
そこで、我が家で現在最も使用頻度の高いMHaudioのポタアン「HA-11」と「iPodClassic」を固定するための金具を自作してみました。
素材は真鍮の板やパイプなどを切ったり磨いたりして作りました。
ちょっと失敗したなあと反省する点もあるのですが、なかなかよい雰囲気に仕上がったのではないかと思います。
HA-11×iPodClassic用の真鍮製金具を自作してみた
どんな金具なのか
この真鍮製の金具はHA-11の電池を交換するために取り外すことができるHA-11のおしり側の板で固定します。
HA-11に元から付いていた黒い2本のシリコンバンドは取り外してしまいました。
iPodClassicを挟みこむような形でHA-11と背中合わせにするようにセットすれば一体化したようになって、一つの大きめの音楽プレーヤーのようになります。
ネジでしっかりと留めるので、iPodClassicはしっかりと安定して固定されます。
HA-11の裏板を外そうと思って外さない限り絶対にとれません。
同じく真鍮製のfinal audio designのイヤホン「HeavenⅤ Aging」と一緒に写真を撮ってみました。
このイヤホンは真鍮の表面が徐々に酸化して良い味になってくるのを楽しもう、というおもしろいコンセプトのイヤホンなのですが、今回作った金具も徐々にこのイヤホンと同じように経年変化して落ち着いた色合いになってくるでしょう。
上の写真の左側にあるそりのようなパーツはズボンのベルトに引っ掛けるためのフックです。
こんなかんじで、HA-11とiPodClassicを腰にぶら下げて、歩き回りながらイヤホンやヘッドホンで音楽を楽しむことが出来ます。
屋外では、突然雨が降ってきたりとかいろいろトラブルがありそうなので、僕はまだ使ったことはないのですが、家の中で色々作業するときに使うとすごく便利です。
ちなみにこのフックは簡単に着脱が可能なので、必要ないときは取り外して使います。
取り外して使うことも出来ますが、別のところに引っ掛けておけばバンザイしているみたいなシルエットになるので可愛いです。
HA-11は音質は非常に良いのですが、ポタアンとしてはかなりサイズが大きく重たいです。
しかし、今回作った真鍮製の金具を使い、iPodClassicとドッキングして腰にぶら下げて使うようになってからは、かなり便利に使うことができるようになりました。
製作工程
作るのは結構大変でした。
図面作成
意外と一番大変だったのはこの工程かもしれません。
このような形状の真鍮製金具でiPodとHA-11を固定する構造のアイデアはずっと考えていたのですが、やっと実現できました。
まず最初は寸法や必要な材料などを計算しながら、紙に図面(型紙)を書きます。
作る際に作業上の無理がないか、完成後に実際に使った時に強度が問題ないかなどを、頭のなかで検証しながら書き出していたら時間がかかってしまいました。
そうして作った型紙を今度は厚さ1㎜の真鍮板にスプレーのりを使って貼り付けます。
糸ノコで切り取る
型紙を貼り付けて、その型紙の線に沿って糸ノコで切り取っていくのですが、その前にドリルで必要な箇所に穴を開けます。
パーツが出来て組み立てるときに必要な直径3㎜の穴と、糸ノコの刃を通すための1.5㎜ほどの小さな穴が必要です。
今回の作業では、糸ノコで四角いドーナツのように内側を切り抜く作業があります。
そういう場所にはドリルで小さな穴を開けて、糸ノコの刃を通すことができるようにしておくのです。
穴あけが終わったら、糸ノコで型紙の線に沿って丁寧に切り取っていきます。
糸ノコの仕事が丁寧にできていると次の作業が楽になるので綺麗で真っ直ぐな線で切り抜けるように練習が必要です。
切り抜きました。
綺麗にそして正確に整える
この段階ではまだ、切り抜いた真鍮板の断面が多少ガタガタしているので、ヤスリで丁寧に面を整えます。
実際にHA-11やiPodと組み合わせてはめ込んだりしながら慎重に形を合わせていきます。
この段階で寸法の狂いがあるとうまくいかないので、一番大事な部分かもしれません。
スペーサー作成と仮組み立て
次に外径4㎜、内径3㎜の真鍮のパイプを輪切りにしてスペーサーの役目をするパーツを作ります。
このスペーサーは長さ2.5㎜のものを8個、長さ4.5㎜のものを8個で、合計16個必要です。
ここまで来たら一度試しに組み立ててみます。
板のパーツに開けた穴とスペーサーに直径3㎜の真鍮の棒を短く切ったものを合計8本用意して、差し込みます。
最初、ちょっとだけずれていて上手く組み合わせることが出来ない部分があったのですが、少しだけヤスリで削って調整するとうまくいきました。
かなり、完成のイメージが見えてきましたね。
磨く
仮組みして寸法は大丈夫なことが確認できたので、後は表面を綺麗に磨いてから組み立てるだけなのですが、その前に刻印を打ちます。
小さくて写真では見えにくいですが、アルファベットと数字の刻印を使って「HA-11 iPod」という文字と「T・Miki」と言う自分の刻印を打ちました。
最後に断面をキサゲとヘラで磨き、表面は紙やすりを使いヘアライン風に仕上げました。
これでパーツは全て完成です。
組み立てる
組み立ては、パーツの穴とスペーサーに真鍮の棒を通して”かしめ”ます。
細めの棒ならばやっとこなどでぐいっと抑えればそれでOKなのですが、今回は3ミリの真鍮棒をかしめる必要があったので金鎚で叩いてかしめました。
ここで、ちょっとアクシデント。
あまりにも叩きすぎてちょっと金具が歪んでしまいました。
普通に使うには問題ないのですが、見た目がゆがんでいるとカッコ悪いので、やっとこなどを使い修正しました。
それでも、多少の歪みが残ってしまったのが気になるところですが、自分で使うには問題ないかなと思います。
完成です。
最後にちょっと焦りましたが、写真で見る限りはそれっぽい感じにできたと思います。
フックも作る
本体が出来上がったら、ベルトに引っ掛けるためのフックも作ります。
本体部分のパーツと同じように糸ノコで切り抜いて、キサゲやヘラ、それに紙やすりで表面を整えていきます。
ぐいっとフックの形状に曲げて、完成です。
ズボンのベルトに引っ掛けるので、引っ掛けやすく、そして取れにくくするために、微妙な角度調整が難しかったです。
HA-11とiPodを組み合わせてみる
真横から見たところです。
HA-11の特徴でもある4つのスイッチの部分も隠れることなく自由に使うことが出来ます。
おしり側から見た図です。
おしり側は要素が少ないので寂しい印象になってしまいそうでしたが、刻印を打ったので、少しだけいい感じに見えてきますね。
フックを取り付けてみました。
フックは取り付けるときと取り外しは簡単に出来ますが、腰にぶら下げた状態では角度的にとれにくいようになっています。
不意に落ちてしまったらショックすぎますが、今のところ使っている限りでは安定して、ベルトに引っ掛けておくことができるようです。
まとめ
実は、ポタアンとiPodを固定するための金具を制作したのは今回が初めてではありません。
今までにHA-1用のものとiQube用のものを作って、今でも便利に使っています。
その2つのうち、MHaudio HA-1用のメタルジャケットは、何年か前のヘッドホン祭りでMHaudioさんのところで出品させてもらったりとかしたのですが、そのうち紹介する機会があれば紹介したいと思います。
iPodなどの音楽プレーヤーとポタアンをどのように固定するかという問題は、ポタアンを使っている人ならば誰もがぶつかる問題であると思います。
最近では定番のシリコンバンドだけでなく「ポタピタシートストロング」という粘着シートも売っていますね。
このシートは使ったことはないのですが、何度も貼り直しができるらしく、またiPodなどを操作する時邪魔にならないのでけっこう良さげだなとは思います。
もちろんそれで固定するのが一番楽で手っ取り早いのは確かですが、せっかくなので、見た感じもかっこよくしたいと思い、今回のような真鍮製の金具を作ってみたというわけです。
この真鍮製金具ならばベルトに引っ掛けて腰にぶら下げるという使い方も普通にできるので、使い勝手もすごく良くなります。
オーディオと言うのは音質を追求する趣味ですから、どうしても見た目の美しさと利便性いう部分でのこだわりは弱くなりがちです。
そんな中で、MHaudioさんのHA-11やHA-1などのポタアンは工芸的な美しさという点でのこだわりが感じられて、すごく好きなメーカーさんの一つです。
今回、真鍮製金具を制作してHA-11と組み合わせてみて、より一層かっこよく、そして便利に使うことができるようになったのではないかと自画自賛してみたりします。
昨日はこのブログでポタアンとiPodを接続するためのDockケーブルのかっこよさについて書いたのですが、せっかくオーディオを楽しむのだから、見た目のかっこよさにもこだわりたいと言うのが、最近音楽を聞きながら思うことです。
コメント
はじめまして。
こんばんは。
HA-11についてなのですがもし手離すようなことがありましたらお声掛けお願いできないでしょうか?
それとHA-1のケース?は今も販売されているのでしょうか?
過去のブログに突然申し訳ありません。
こんばんは。
HA-11は最近は使ってないのですが、色々と思い入れがあるアンプなので・・・ごめんなさい!ちょっと手放すのは厳しいです。
HA-1のケースは今は販売はしていません。
新しく作ることはできなくはないのですが、最近はなかなか制作の時間がなくてちょっとむずかしいです。
せっかくコメントして頂いたのにご期待に添えなくて申し訳ないです。
こんばんは。
HA-1は所有しているのでケースなんて素敵だなぁと思ったのですがお忙しいようで残念ですが仕方がありませんね。
HA-11は販売終了のようなので大切になさってください。
不躾なお願いを申し上げてしまったのにご丁寧にご返信ありがとうございました。