最近、ヘッドホンで音楽を聴くときはGRADO(グラド)のヘッドホンを使用する頻度が半端ないです。
いくつか所有しているヘッドホンの中でも、GRADOのヘッドホンは非常にとがっている存在ではあるのですが、一度くせになってしまうと抜け出せないような魅力があるのですよねぇ。
まさに変態紳士のヘッドホンだと思います。
GRADOさえあれば、脳汁をじゅんじゅわ~としながら、音楽ライフを送ることができるのです。
SR60iは、そのような危険なGRADO紳士の入門用のヘッドホンとしては最もお手軽な存在なのです。
現在、普通に手に入る中では、最も安価なGRADOホン
僕は現在のところ2つのGRADOのヘッドホンを持っています。
『SR325is』と『SR60i』です。
SR325isは「変態紳士」のヘッドホンと呼ばれているGRADOホンの中でも特に変態的なヘッドホンでして、まさに脳を突き抜けるような感じの音が出るのであります。
で、最近一番使っているのはこのSR325isなのですよね。
どんなに元気がないときも、このヘッドホンで音楽を聴くと、ユンケルを飲んだかのように強制的に元気を引き出してくれる悪魔の道具なのです。
いや、これはちょっと大げさかもしれないけれども、本当にそう思います。
最も端的にGRADOっぽいヘッドホンというと、一般的にはこの「SR325系」のヘッドホンが挙げられる事が多いです。
『SR60系』のヘッドホンは現在普通に売られているGRADOのヘッドホンの中でも最も安価です。
だけれども、しっかりと「GRADO」していて、リポビタンDを飲んだ時のように元気になっちゃいます。
以前は、「iGRADO」というネックバンド式のヘッドホンが売られていて、それが最も安価なGRADOホンでした。
でも、最近はいろいろと探してもまともに新品を扱っているところは無いようなのですよね。
欲しいのですが、手に入れるのが難しいので、ちょっと残念です。
故に、『SR60系』が最も安価でかつ、手に入れやすいGRADOのヘッドホンと言うことができるでしょう。
『e』
さっきから、わざわざヘッドホンの型番に『系』という言葉を使っているのは理由がありまして、僕の所有している『SR60i』と『SR325is』は現在では型番が少し変わって、後継機?が販売されているからなのです。
現在、GRADOのほとんどのヘッドホンには型番の最後に『e』という文字が入っています。
『i』とか『is』のシリーズは終了して、『SR325e』だとか『SR60e』というような製品名になってしまったんですよね。
だから、僕が持っている「SR60i」は1世代古いヘッドホンということになります。
違いとしては、ドライバーが変わって赤い色のドライバーになったという点です。
以前、ヘッドホン祭でGRADOの代理店の方に聞いてみたことがあるのですが、その方が言うには、新しいドライバになって音に大きな変化は無いものの、ちょっとだけ豊かな音色に変化しているとのことです。
僕が「SR60i」を買った時はまだ「SR60e」は販売されていませんでした。
でも、少しとは言え、違いがあるというのならば、今からGRADOを買う場合は『e』シリーズを買ったほうが良いでしょうね。
僕だったら、そうします。
『i』の型番が付いているGRADO機で出回っているのは中古しかないですしね。(中古が悪いというわけではないですよ)
ちゃちい
SR60iは「GRADO入門用」のヘッドホンとは言っても、諭吉が一枚飛んじゃうくらいのお値段はします。
でも、実際に手にとって細部を見てみると、造りはすんごく「ちゃちい」です。
本当に、見た目はプラスチックっぽさ満載で、左右で微妙にずれていたりとか、加工時のバリの処理とかも甘かったりとか、とにかく安っぽいです。
GRADOの製品の出来に、同じ機種でも個体差があるなんてことは日常茶飯事です。
(うちの子達にはないですが)接着剤がはみ出しているというような、日本の製品にはありえないようなことも普通にありえるのだそうですよ。
でも実は、「民芸品」だとか「百均っぽい」とか、言われてしまう造りの荒さは、個人的にはどうでも良かったりします。
なぜなら、GRADOでしか「GRADOサウンド」は味わうことが出来ないからです。
そもそも、GRADOとかいう、マニアックで変態的なヘッドホンを選ぶような紳士が、「見た目がちゃちい」とか「入っている箱が観光地の土産のお菓子の箱よりも安っぽい」とかそう言う細かいことは気にしないのではないでしょうか。
いや、気にしてはいけないのです。
ヘッドホンというのは音楽を聴くための道具です。
ある意味、GRADOのヘッドホンというのは、その目的だけに特化しているとも言うことができるのかもしれませんね。
ほんと、GRADOに関しては細かいことはどうでも良くなっちゃうのです。
ミニプラグ
SR60iの良い所は、『ミニプラグ』だということだったりします。
GRADOのヘッドホンのケーブルは非常に太くて立派です。
SR325isのケーブルなんて、まるでDIYに使うリールコードか何かかと思ってしまうくらいにぶっといです。
そして、標準プラグなので、iPodなどの一般的なポータブル音楽プレーヤーには直接挿すことは出来ません。
それらの誰もが持っているような機器で使用するためには、変換プラグ等を使用する必要があるのです。(ケーブルが太すぎてすごく不安定な状態になってしまいます。プラグの根本が折れそうで心配になっちゃいます・・・)
SR60iのケーブルは普通のヘッドホンよりは太いですが、上位のGRADOホンに比べると細めだし、ミニプラグなので普通にiPodやiPhoneで使用可能です。
このヘッドホンには、そんなに高性能なヘッドホンアンプとか必要ないですからね。
もちろん、よりパワーのある環境で鳴らせば、それなりに良い音は出てきます。
僕も普段はポタアンを使って音楽を聞いています。
しかし、他社のものも含めてのハイエンド機に比べると、音楽再生環境の良し悪しによる、音質の変化は少ないのです。
それが、SR60iの良さの1つでもあって、まさにどんな人でもお手軽にGRADO体験をすることが可能だということなのです。
据え置きのアンプとかは使わないで、ミニプラグが使用可能なポータブルプレイヤーで気軽に音楽を聴くときにも重宝するはずです。
このヘッドホンにミニプラグが使用されているのは、そうやって非力な環境でも使ってほしいからなのではないでしょうかね。
装着感
GRADOのヘッドホンは一般的には装着感が非常に悪いとされています。
中には「GS1000系」のような変態的な装着時の見た目でありながらも、非常に装着感が良いとされている例外も存在してはいます。
でも、基本的には頭頂部やら側頭部やらを圧迫される事による「痛み」との戦いだったりするのです。
『SR60i』はその例にもれずに、僕も長時間(2〜3時間)装着して音楽を聴いていると、非常に耳が痛くなってしまいます。
ただ、GRADOのヘッドホンは左右のハウジングをつないでいるヘッドバンドをグイグイと手で曲げて調整できるのが良い所なのですよね。
人それぞれの頭の形状に合うようにカスタマイズすることが可能なのです。
これは、GRADOのヘッドホンを入手したら、まず最初にやらないといけない儀式のようなものです。
ただ、このGRADO入門機のイヤーパッドはスポンジを耳に押し当てるようなタイプです。
そのために、どうやっても圧迫感は感じてしまうかもしれません。
ただ、これは本当に人それぞれの頭の形や、感覚などで、全くもって異なるのでなんとも言えない部分ではあります。
僕個人の感覚としては、一般的に装着感最悪と言われる部類の「SR325is」は何時間使っていても問題無いと思っているので、本当にわからないものです。
GRADOは本機に限らず、装着感に関しては癖があります。
そのために、可能であればお店で「試着」してみることを強くおすすめします。
と言っても、「愛」があれば装着感なんてどうでもよいかもしれないですけど・・・
GRADO紳士にとって、装着時の痛みはご褒美のようなものかもしれません。
GRADOって感じの音
さて、肝心の『SR60i』の音については、実はあまり言うことが無かったりします。
今までの話と矛盾するようですけど、意外と特徴のない音を鳴らすヘッドホンだと思うんですよ。これ。
それなのに個人的には大好きなヘッドホンの1つではあります。
でもやはり、「高音がすごく伸びる!」とか「重低音がすごい!」とかそう言うことは、音を聞いていても全く思わないですね。
言っちゃうと、ものすごく中庸な音のヘッドホンです。
だから、ある特定のジャンルに合うとか、そういうこともあんまり思わなくて、いろんな種類の曲をSR60iで聞いても、「それなり」な気がします。
だからと言って、エティモのER-4Sとかのような「フラット」な音か?と言われると、全くもってそんなことはなくて、どこか特定の帯域が誇張されているような雰囲気も、かなりあります。
非常にオーディオ的な音だとは思いますよ。
しかし、あんまり「ドンシャリ」という言葉は好きではないのであまり使いたくないというのもあるのですが、『SR60i』はドンシャリサウンドというわけでもないですね。
別に「ドンドン」した感じでも「シャリシャリ」した感じでもないからです。
まあ、細かく音の特徴を述べるのは、ちょっと難しいヘッドホンではあります。
それじゃあ何がそんなに良いのか?という話になってくるのですが、それは『GRADO』だということなんですよ。
『SR60i』の音はまさにGRADOの音なのです。
このメーカーのヘッドホンらしい、独特の響きのある音なのですよね。
GRADOホンの音って、ものすごく特徴的で、基本的には音空間は狭いけど、ものすごく聴きやすい感じの音なんですよね。
僕、GRADOのヘッドホンの音の魅力って、(いろんな人から反論されそうですけど)「空間性」だと思うのです。
よく聴くと、狭い音空間の中でも、各音源の配置が整っているので、非常に聴きやすいのですよ。
定位感がふらふらしていたりとか、それが弱いヘッドホンって、長時間聞いていると疲れてくるのですが、GRADOのヘッドホンはそんなことは全然ありません。
ずっと聴いていたくなってしまう魔法にかかってしまったのではないか?と感じることさえあります。
GRADOのヘッドホンを2つしか持っていない僕が偉そうな事を言うな!とかも言われちゃいそうですが、GRADOを聴いていると疲れるどころかテンション上がってくるのは確かです。
そのことからも、GRADOホンの奏でる音空間は非常にしっかりとしたものなのです。
それでいて、他のメーカーのヘッドホンよりもずっと、オーディオ的な響きや楽器のリアルな感じだとかは素晴らしいので、聴いていると脳汁がドバドバと出てきちゃうのだと思うのです。
だから、GRADOのヘッドホンを評価するときに、「高音が〜」とか「低音が〜」とか細かい事を言うのはナンセンスで、なんというか全体的な音の雰囲気の良さを是非とも味わってほしいと思うわけなのです。
『SR60i』はしっかりとGRADOな音を味わうことができるヘッドホンではあるけど、その他の細かい点については特徴が薄いと感じています。
GRADOっぽさという点では、非常にわかりやすいヘッドホンかもしれないですね。
まあ、そんな意味でもこのヘッドホンは「変態紳士入門用」のヘッドホンとしては最適なのではないかと思うわけです。
まとめ
最近、GRADOのヘッドホンの使用率が高いので、まだこのブログに書いたことのない「SR60i」について書いてみました。
やはりGRADOは良いです。
造りのちゃちさとか、装着感の悪さとか、いろいろと細かいことを言うと問題もあります。
でも、実際に使用していると、そんな細かいことはどうでも良くなっちゃうのですよねぇ・・・
SR60iにしても、SR325isにしても、使っているとなぜか元気になっちゃうヘッドホンだと言うのは間違いありません。
素晴らしいヘッドホン達ですよ。
『SR60系』は世の中に存在しているGRADO機の中でも、この紳士のヘッドホンの音を最も気軽に味わう事ができるヘッドホンと言っても過言ではありません。
まさに、変態紳士入門用のヘッドホンと言うことができるでしょう。