【レビュー】SHURE「SE112」コスパ最強かもしれないイヤホン

SHURE「SE112」

5/29に発売されたばかりのSHURE(シュア)のイヤホン「SE112」を買ってみました。
先月、中野で開催された春のヘッドホン祭2014で試聴したときの印象が良かったのが購入のきっかけです。

SE112は約5000円というSHUREのイヤホンの中では最も安価な部類の製品ですが、非常に良く出来ていてコストパフォーマンスに優れたイヤホンです。

他のSHUREのイヤホンとほぼ同じレベルの遮音性と、いわゆる「SHURE掛け」という耳に掛ける装着方法でなく、一般的なイヤホンと同じ装着方法も可能な使い勝手の良さを併せ持っている点は評価できるところだと思います。
また、ケーブルはかなり丈夫に作られている様子で、これならば断線の心配も少ないと思います。

また、音も非常に良いです。
上位機種と比べても十分に戦えるくらいの音質のイヤホンであると思います。

買ってよかったと思います。

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SHURE「SE112」のレビュー

SE112の付属品

SHURE「SE112」
SE112は約5000円という金額で買うことができるエントリークラスのイヤホンです。

故に、付属品は上位機種よりも少なめで、必要最小限のものしか入っていませんでした。

SHURE「SE112」
シリコンタイプのイヤーピースのLサイズとSサイズ、もともと付いていたMサイズのイヤーピース、クリーニングツール、それにキャリングポーチです。

上位機種はこれ意外にも様々な種類のイヤーピースやもうちょっとしっかりした作りのキャリングケースが付属しています。
SHURE「SE112」
SE112のキャリングポーチは布製の非常に簡素なものですが、かなりコンパクトに収納が可能です。

あまりたくさんの付属品がついていても全部は使わないし、その分安くなっていると考えれば、SE112のシンプルさは歓迎すべきでしょう。

最初についていたMサイズのイヤーピースは僕の耳には大きすぎたので、すぐにSサイズのものに交換してしまいました。

ステムの細さに注意

イヤーピースを取り外したところの写真です。
SHURE「SE112」
SHUREのイヤホンは基本的に「ステム」という本体にイヤーピースをはめるための部分が非常に細いです。
特にイヤーピースの交換の時はステムを折らないように注意しなくてはなりません。

この細いステムのおかげで普通のイヤホンにはない遮音性が実現できているだと思うのですが、折ってしまったらショックすぎるので本当に気をつけましょう。

他社製品で遮音性の高いイヤホンとして有名なのは、エティモティックリサーチ社の『ER-4S』などが挙げられます。
後述しますが、このイヤホンはSHUREならではの利便性をしっかりと受け継いでいるイヤホンです。
なので、ER-4Sなどに比べるとイヤホンとしての使い勝手は、断然SE112の方が上です。

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普通の装着方法でもOK

今までのSHUREのイヤホンは基本的には、いわゆる「SHURE掛け」と呼ばれる耳の裏側にケーブルを通す方法でしか装着することが出来ませんでした。
SHURE イヤホン装着方法
「SHURE掛け」は歩いた時にガサゴソ音がするタッチノイズを抑えたり、イヤホンが外れるのを防いで安定した装着を可能にしてくれたりするのが利点です。
「IEM(インイヤーモニター)」と呼ばれるイヤホンの象徴的な装着方法です。

しかし、まだまだ一般的であるとは言えません。
慣れれば普通のイヤホンを装着するくらいの感覚で簡単に「SHURE掛け」することが出来ますが、慣れないとどうやって装着すれば良いかわからないレベルです。

その点SE112は「SHURE掛け」でも普通の耳からそのままケーブルを垂らす普通の装着方法でも、問題なく使うことが出来ます。

これは約5000円という安価な値段設定と、この価格帯の製品に求められている「iPod付属イヤホンからのランクアップしたい!」というユーザーのニーズに答えたものであると考えられます。
この価格帯のイヤホンを買う層の人は「SHURE掛け」が基本の高級なイヤホンを買ったことがない人も多いはずですからね。

そう言った意味で、非常にユーザーフレンドリーな仕様のイヤホンであると言えます。

僕は「SHURE掛け」が好きなので、そっちで装着してますけどね。
ちなみに装着した時に「SHURE」のロゴの上下が正しく見えるのは「SHURE掛け」した時です。
SHURE「SE112」
また、どちらの装着方法で装着してもしっかりと密閉されて、耳にピッタリとくっつくような密閉感を得ることが可能な点は素晴らしいと思います。
どんぐりのようなずんぐりとした形状のボディのイヤホンですが、非常によく練られた形状であるということがわかります。

SE535との外観の比較

SHURE「SE112」「SE535」
上位機種である「SE535」と並べてみました。

両者はかなり形状が違うということが分かるかと思います。
SHURE「SE112」「SE535」
真横から見てみるとよく分かるのですが、SE112は2つの装着法が可能な分、SE535などの「SHURE掛け」しか出来ないタイプのイヤホンと比べて耳から出っ張ります。
故に「SHURE掛け」しかしない人にとっては、SE535などの上位機種のほうが装着感が少しだけ良いと言えるかもしれません。

SHUREのイヤホンの代名詞でもある高い遮音性は、SE112もその例に漏れず普通のイヤホンとは比べ物にならないくらいの高さです。
しかし、比べてみるとSE535の方が若干遮音性が良いように思いました。
あ、でももしかしたら、SE535はフォーム(スポンジ)タイプのイヤーピースをつけていたからかもしれません。
SE112は付属のシリコンタイプのイヤーピースを付けて使っているので…
今度フォームタイプのイヤーピースも試してみます。

SHURE「SE112」「SE535」
写真のSE535はサエクのケーブルにリケーブルをしているのですが、SE112のケーブルの見た目はSE535の純正のケーブルと同じものであるように見えます。

しまってあったSE535の純正ケーブルを押入れから引っ張り出してきてSE112と一緒に写真を撮ってみました。
下記の写真の上がSE535の純正ケーブルで下がSE112のケーブルです。
SHURE「SE112」
ケーブルの太さはノギスで測ってみると太いところは3ミリもありました。
SE112のケーブルは非常に太いですが、その太さからは想像できないくらいしなやかです。

この感じは、SE535のケーブルとほとんど同じように感じます。

SE535を買った当時も思ったのですが、 SE535は断線しても簡単にリケーブルして直すことができるけど、そもそもSE535のケーブルはものすごく丈夫で断線の心配はないなあ…と思っていました。
SE535が発売された当時はケーブルの被覆に「ケブラー」というすごく丈夫な素材を使っているということで話題にもなりましたね。

SHUREのイヤホンは最近の「SE◯◯5」シリーズ以前のSE530とかを売っていた頃は断線に弱いイヤホンというイメージがあった時期がありました。
それは、ケーブルの被覆が汗などで劣化したり、「SHURE掛け」でイヤホン側のケーブルの根本に負担がかかっていたから起こっていたものだったわけです。
当時のSHUREのイヤホンはケーブルが着脱式ではなかったのでリケーブルも簡単には出来ませんでした。
それ故に、最近のSHUREのイヤホンには断線に対しての対策には大きなこだわりが見られるようになりました。

SE112はSE535のケーブルと同じ素材を使っているのかどうかはわかりませんが、SE535のケーブルと同じように断線に強そうな丈夫なケーブルであるように見えます。

SE112はその他の上位機種と違って、リケーブルは出来ないタイプのイヤホンですが、本体価格の安さを考えるとその必要もないかもしないですね。
ケーブルの長さも127㎝ということなので、普通に使うにはちょうどよい長さですし、別でケーブルを買うとケーブルの方が高価である場合が多いです。

SE112の音質の特徴

SHURE「SE112」
SE112は5000円のイヤホンであるとは思えないくらい、整った音を鳴らすイヤホンです。

特に低音部分がすごく良いですね。
低音部分の量は少し多めですが、そこまで支配的ではなく、強くはありません。
どちらかと言うと正確で淡々としているように思います。

僕はよくゲームのサウンドトラックとかも聞くのですが、試しに懐かしいスーパーファミコン時代のFF5とかFF6の曲のような音数の少ない曲を聞いてみると SE112の良さがよく分かる気がします。
このようなシンプルな音源を鳴らしてみると、非常に丁寧にベースラインを拾って正確に鳴らしてくれているのがよくわかります。

そのために非常に土台のしっかりした整った音を鳴らすイヤホンであるという印象があるのかもしれません。

また、高音部分は特に主張するかんじではないですが、優等生タイプな鳴り方であるために、特に違和感と不足感を感じることなく女性ボーカルの曲なども普通に聞くことが出来ます。
しかし、あくまで「違和感なく」聞けるのであって「魅力的に」とは言いがたいかもしれません。
良くも悪くも落ち着いた音のイヤホンです。

SE112はどんな曲でも淡々と問題なく奏でることが出来ますが、特化した部分がないのが良い所でもあり欠点でもあるのだと思います。
そこが、他の〜が魅力的と言われる何かに特化したイヤホンにはかなわない点ではあります。

しかし、この価格帯のイヤホンであるということを考えると、十分すぎる音質なのですけどね。
この価格帯のイヤホンにあまり多くの事を求めてはいけません。

でも、約5000円でここまで空間表現が豊かなイヤホンはそうはないはずです。

僕はイヤホンを買うときはそのイヤホンの空間表現の良さとかをみながら買うことが多いのですが、SE112はそういう意味で優れたイヤホンです。

SE112の奏でる音空間は下前方に広がるタイプです。
そのためにどっしりとした安定感があるように感じられます。

また、遮音性が高いイヤホンであるにも関わらず、開放的な音である印象があります。
そのために実際は普通のイヤホンよりも密閉されているはずのSHUREのイヤホンの中でも閉塞感は少ないように感じます。
これはSE112が他のSHUREのイヤホンの上位機種よりも優れている点だと思います。
SHURE「SE112」
また、ポータブルヘッドホンアンプなどを使わなくて、iPodなどに直接つなげてもけっこういい感じですね。
というか、変化が少ない印象ですね。

もっと言うとMP3やAACなどの圧縮音源の曲でもそれなりに聞こえてくるのが不思議です。

それ故に、SE112の良さは環境に左右されずに気軽に使うことができるという点にあると言えます。
Youtubeなどで動画を見たり、ラジオを聞いたりという使い方をするのにも向いているイヤホンかもしれません。

SE535との音質比較

SE112は上位機種であるはずのSE535とも使い分けできるレベルの音質であると思います。

駆動方式の違いもあるのですが、両者の違いは音質のレベル差というよりもキャラクターの違いと考えたほうが良さそうです。

SE535はバランスドアーマチュアドライバが3つ搭載されたいわゆる、「マルチBA」と呼ばれる駆動方式のイヤホンです。
なので、SE112よりも解像感は明らかに上です。
BAドライバのイヤホンだけあって、細かい繊細な音もしっかりと拾ってくれている印象です。
また、SE535のボーカル系の表現は非常に魅力的です。

それに対してSE112は「ダイナミック型」ドライバを一つ搭載しているイヤホンです。

まあ言ってしまえば普通のよくあるタイプのイヤホンですが、ダイナミック型のイヤホンも高級イヤホンによく使われているBAドライバよりも優れている点はあります。
マルチBAのイヤホンは一つ一つの音の分離感という点では優れていますが、どうしても音のつながり感が不自然になってしまう性質があります。
そのために、空間表現が薄くなってしまったり、安定感に欠ける音のイヤホンが多いです。

その点SE112はSE535には無い自然な音の広がり感を演出してくれるという意味では、上位機種であるSE535よりも圧倒的に優れているように感じます。
故にSE112は音の立体感とか、自然さは上位機種であるSE535よりも明らかに良いです。

また、SE112はBA型のイヤホンにはない、ダイナミック型ならではの魅力のある低音の音圧や迫力を感じることが出来ます。

ただし、音の数が多くスピードの早い曲はややごちゃごちゃした印象に聞こえてしまうかもしれません。
その点においては上位機種のSE535の方が良いと思います。

また、SE535は聞く曲の録音状態や圧縮度合いにすごく左右されることが多いのですが、SE112はわりとなんでもいける気がします。

このように両者は全く違うキャラクターのイヤホンです。
その意味では2つ持っていると気分や聞く曲よって使い分けることができると思います。

SE215との音質比較

SE112は、SE112が発売されるまではSHUREのエントリー機であった「SE215」と音が似ています。
SE215は以前所有していたのですが、とある事情から知人に譲ってしまい、今は手元にありません。
したがって、とっかえひっかえして比較することは出来ないのですが、SE112を初めて聞いた時からSE215と同じ音傾向のイヤホンであると思いました。

両者の違いは低音部分かなあと思います。

SE112の方が低音のすっきり感があるように思います。
SE215の方がちょっとだけ低音が多いというか、はっきりしない部分があったのですが、SE112はそのもやっとした印象が無いですね。

故に、SE112の方がクリアで開放的な音であると言えると思います。

音空間の表現はほとんど同じような雰囲気だと思います。
両者ともどっしりした安定感のある低音重視の音だと思います。

しかし、SE112の方が低音のすっきり感のおかげか、空間の見晴らしの良さはSE215よりもいいかもしれませんね。

SE215はケーブル着脱式で簡単にリケーブルできるので、サードパーティ製のケーブルを買って付けてみたり、パーツを買ってきて交換ケーブルを自作して取り付けたりとかいう楽しみはあるかもしれません。

まとめ

SHURE「SE112」
SE112のすごいところは上位機種のSE215やSE535よりも金額がずっと安いのにそれよりも優れている点がいくつかあるということです。

下位の機種は上位機種と比べてあらゆる点で叶わないのが普通ですが、SE112は上位機種とも戦うことができるかもと思わせてくれる点がいくつもあります。

それを約5000円という金額で実現したというのは、ある意味革命的なことです。
そんな意味で、SE112はすごいイヤホンであると言えると思います。

SHUREのイヤホンはオーディオとしての音の良さは別として、ポータブルできるオーディオ機器である「」という道具としての性能や使いやすさは最高クラスです。
それが、SHUREのイヤホンの最大の魅力であると思っています。
そして、SE112は上位機種と同じレベルかそれ以上の使い勝手の良さがあります。

5000円という価格帯から考えると、SE112はDAPの付属品のイヤホンからのステップアップを目的としたユーザーが対象となるエントリークラスのイヤホンです。
「SHURE掛け」に馴染みがない人でもとっつきやすい扱いやすさと、堅牢さを兼ね備えている点は素晴らしいですね。

音質もエントリークラスのイヤホンとしては珍しい、淡々とどんな曲でもそつなくこなすことができる優等生タイプのイヤホンです。
ハデな印象がなくて落ち着いている音なので、突出した良さがあるわけではありませんが、金額を考えれば非常に優秀なレベルの音だと思います。

以上のことからSE112はコストパフォーマンスが最高のイヤホンの一つであると感じました。

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